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『甘口辛口』 ⑩

『甘口辛口』 ⑩

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―母の味―

旅館の朝は、おなごしょで始まります。
いわゆる女衆が厨房(ちゅうぼう)に入り、朝食を作ります。

玉子焼きは母の担当です。
ダシ巻き玉子が主流となっている今日ですが、砂糖、塩、みりんで味付けする
とろっとした甘い玉子焼きです。

母は五頭い嫁いで32年、夫(私の父)を亡くして21年になります。
旅館業も子育ても細腕とは言いませんが、女手ひとつでよくやってきたなぁと感心します。

毎日どんなことがあっても変わらず厨房に立ち、玉子焼きを焼いている母。
私は、母が夫を亡くした歳(とし)に近づくにつれて、この日々の繰り返しの中に
母の強さを感じ、自分には到底できないことだと実感させられます。

「お客さまがおいしいって喜んでくれるから」とただ笑う母。
環翠楼の玉子焼きは母の味。
私だけの母の味ではなく、みんなの母の味です。

どうかこれからも元気で焼いてくださいね。


環翠楼名物はたくさんあります。
そのひとつに 帳場で行われる母娘のケンカがあります。
「ケンカするほど仲が良い」だよね?お母さん。
これからも二人で、
いや、環翠楼のみなさんと頑張っていきましょうね。
どうぞ宜しくお願い致します。

弥栄子
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『甘口辛口』 ⑨

『甘口辛口』 ⑨

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―小池さん―

環翠楼の庭はえらく広く、まるで森のようです。
その中にいつもちょこんと小さなおじいちゃんがいます。
その名は小池さん。
お弁当と水筒を持って、自転車に乗って30分もかけて通ってきてくれます。
小池さんのアイテムは竹ぼうき。
朝、薄暗いうちから庭掃きに取り掛かります。
小池さんが掃いた跡は竹の目がそろい、とてもきれいです。
掃いても掃いてもはらはらと葉っぱが落ちてくることもありますが、
小池さんはニコニコと掃き続けます。

お昼時、ピクニックに来たかのようにお弁当を広げている小池さんに
「なんぎくない?」と声を掛けると
「いんやぁ、ここに居るだけで幸せだぁ。こんな庭、他にねぇよ。ほぅれぇ」と満足そうに笑顔を庭に向けます。

こんな人が陰で支え守ってくれていることを本当にうれしく思います。
小さなおじいちゃんの、小さな力かもしてませんが、
私の中ではとてつもなく大きな力になります。

お客様を見送る時、
竹ぼうきを片手に照れくさそうに小さく手を振る小池さんが大好きです。

環翠楼の庭は墨絵のような雪景色です。
小池さんは冬休みです。
静かな冬です。

雪割草が咲く頃、また小池さんの笑顔に会えるかな。

『甘口辛口』 ⑧

『甘口辛口』 ⑧

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―五頭の恵み―

わが家の水道の蛇口からは、いつも勢いよく水が流れています。
五頭山の麓(ふもと)に井戸を掘り、そこから水を引いているのです。
朝コップいっぱいの水は何よりもおいしく、
すぅっと体がきれいになるような、
一日の始まりを応援してくれるような、そんな感じがします。

村杉には、五頭山の伏流水が湧いている所が何箇所かあります。
それを求め、近郊の人々が大きなポリタンクを持ってやってきます。
今ではその光景が当たり前に受け入れられるようになりましたが、
私が五頭から出て、ほかの地で暮らしてみるまでわかりませんでした。
たった一杯の水のありがたさ、おいしさ、豊かさがわかった一人暮らしでした。

水を選び、買う時代です。
当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなりつつある今日、
何も不自由なく毎日笑って過ごせることを、五頭の恵みに感謝します。

五頭山が雪化粧しました。
澄んだ空気の中、いつにも増して凛(りん)として見えます。

五頭に住んでいることは私の誇りです。
そんな誇りでも良いでしょう?
いつか、この五頭に恩返ししなければ。。。

『甘口辛口』 ⑦

『甘口辛口』 ⑦

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―忘年会の主役―

「あぁ、きれいだねぇ」
溜(た)め息をつきながら紅葉を見上げていたのは2週間前。
はらはらと落ちてくるモミジを手に取っていたのは1週間前。
気がつけば12月。

やってきました、忘年会シーズン突入です。

最近少し変わった傾向といえば、女性だけの忘年会がありますね。
お二人さまでも大勢様でも忘年会には変わりありません。
仲の良い方たちのお集まりのようで、最初から最後まで笑い声が絶えません。

それと対照的なのが会社のお集まり。
幹事さんはお料理の味、お酒の種類の豊富さ、ご予算、特に少人数である女性の顔色をうかがい、
本番でも酔えなかったり。見ているこちらの方がハラハラドキドキです。

以前は上司に気を遣いでしたが、今は女性に気を遣い。
会社の忘年会。
女性のみなさま、どうぞ飲んでください、笑ってください。
どんな芸よりどんな歌より、きっとみなさまの顔色ひとつが忘年会を盛り上げますから。

新年会が始まっています。
女性の笑顔を作るのは 私達の仕事でもあります。
みなさまに満足していただけるよう、精一杯がんばります!

今日は村杉のどんど焼き。
さいの神の日です。


帳場がなんだか騒がしい。。。
どんど焼きで燃やす古くなった御札を探しているようです。


雪が降る神社も素敵です。
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御札燃やすより、餅を焼き。
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今年も一年、元気に過ごせそうです。

『甘口辛口』 ⑥

『甘口辛口』 ⑥

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―祖母の甘煮―

村杉の郷土料理のひとつに鯉料理があります。

子供のころ、わが家では鯉を池から揚げるのもさばくのも祖母の仕事でした。
大きな網でぐいっと鯉をすくう祖母はたくましく見え、鯉の頭を棒で打ち、気絶させる姿などは、
幼い私には恐ろしく目を覆うほどでした。
鯉には痛点がなく、打たれてもさばかれても痛さを感じていないのだと大きくなってから知り、
安堵(あんど)したのを覚えています。

五頭の伏流水で育った鯉は泥臭くなく、水が冷たくなったこの季節には脂がのっておいしいと定評です。
特にザラメ、水あめ、酒、醤油(しょうゆ)でとっくりと長時間煮込みあげた甘煮(うまに)は、
家それぞれの味が出て、家庭料理にもなります。
郷土料理とは単に味を残していくだけではなく、
それを作る人たちや想(おも)いをも受け継いでいくものだと思います。

今日も甘煮の注文が入りました。
厨房(ちゅうぼう)は祖母が生きていたころと同じ優しい甘い香りに包まれます。
たくましさがプラスされた祖母の甘煮がちょっぴり懐かしいです。

本当にたくましい祖母だったんです。
なんでも一人で上手にこなし、「おっかさま、おっかさま」と誰からも慕われていました。
小さな私にも子供扱いしないで、たくさんの事を教えてくれました。
私の基礎をつくってくれた人かもしれません。

『甘口辛口』 ⑤

『甘口辛口』 ⑤

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―からこさげ―

12月12日は山の神様、15日は水神様の日です。
村杉に古くから伝わる行事で「からこさげ」と呼んでいます。
「からこ」とは洗米を砕いて作った団子。
健やかに一年を過ごせた感謝の気持ちとして、からこをお供えし、お下がりを頂くことから、
からこさげという名になったそうです。

今ではからこを作る家庭はなくなりましたが、代わりに子供が好みそうなお菓子をお供えします。
両日の夜、薬師堂と神社の拝殿の扉からはうっすらと灯(あか)りが漏れ、
子どもたちの賑(にぎ)やかな声が聞こえます。
扉を開くと、上手に正座した村杉の子どもたちは、神様に仕える子になったかのように黙して一斉に頭を下げます。

幼いころは、ただ、お菓子をもらえることが楽しみだった行事。
大人になった今、中はとても小さく感じられ、迎えてくれる子どもの数も減りました。
時代とともに変化していく伝統行事ですが、
受け継がれることにより自然の恵みに感謝する気持ちを育(はぐく)むことができると思います。
みんなで大切に守っていきたい、からこさげです。

今年も からこさげ に行ってきました。
「神社の扉の鍵が開かないよぉ!」と子供達に連れられ、私が開けることに。
おっ。今年は私も一役かったぞ。

とても寒い日で、子供達は鼻を真っ赤にしながらお出迎えしていました。

『甘口辛口』 ④

『甘口辛口』 ④

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―冬の醍醐味「醍五味鍋」―

冬になると恋しくなるもの、お鍋!

当館にはこの時期限定の鍋があります。
その名も「醍五味(だいごみ)鍋」。
きっかけは某テレビ番組の企画で、五頭温泉郷にも冬の名物料理を作ろうと
各旅館の料理長たちがあの有名な服部幸應先生とフレンチの鉄人・石鍋裕シェフの
お力をお借りし、アイディアを出し合い、完成させた一品でした。

真っ白な豆乳をベースに大きめに切ったたっぷりの冬野菜と飛龍頭(ひりゅうず)を煮込んだ、
一見、本当にシンプルなお鍋です。
が、一口食べれば心からふんわりと温かな気分になります。
地元の人たちが心を込めて作った食材をふんだんに使った素朴さと愛情が、
そう感じさせるのかもしれません。

残念ながら今は数件の旅館でしか食べることができません。
それでも、より地域に根ざした料理にしたいという強い思いと、
お客様に喜んで頂けるようにと、6年間の試行錯誤を重ね今日の味になりました。

どうぞ、冬の醍醐味「醍五味鍋」を味わいに冬の五頭へお越しください。

新聞に記事が載ってから、日報さんが再び取材に来てくださいました。
月に何度かいらっしゃるお客様にはお献立を替えていますが、
この醍五味鍋だけは「是非また食べたいので出してください!」とのご要望を頂いております。

『甘口辛口』 ③

『甘口辛口』 ③

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―ズミ酒作り―

ズミをご存知でしょうか?
私が住むこの辺では「ジュミ」、通称「ガマズミ」。
天然クエン酸を含むリンゴ酸が多いことから、昔から健胃疲労回復に重宝されています。
南天より少し小さめの実は、11月に入ると真っ赤に色付き、茶花として生けても上品です。

深い赤色に変わると、ジュミは私の大好きな「ズミ酒」になります。
地元のおばさま方に誘われ、ズミ酒作りにトライしました。
実1キロ、氷砂糖1キロ、焼酎1升を瓶に入れ密封。
あとは土蔵に寝かせて一年待つだけ。
なんて簡単!おいしく作るコツは適当!
と思いきや、実を摘む私の手はつぶれた実で真っ赤に染まりました。
おばさま方はつぶすことなく上手に摘んでいます。
飲み方専門だった私。
お酒が出来上がるまでの手間をかけた物語を知ることができました。

「お疲れさま!」と一年前に漬けたズミ酒で乾杯。
グラスに注がれた赤い色がとても綺麗(きれい)で高級酒を飲んでいる気分。
「やっぱうんめねぇ。ジュミ酒」。
おばさま方の言葉でわれに返る。

来年の「ジュミ酒」も楽しみです。

ロックがお薦め。
カランと氷を溶かしながら 手間をかけたお酒をゆっくり味わいます。

『甘口辛口』 ②

『甘口辛口』 ②

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―ふれあい朝市―

五頭の麓(ふもと)には食と緑の交流センター「うららの森」があります。
五頭温泉郷に関する情報をお客さまに提供したり、竹かご作りや陶芸など五頭の伝統工芸の
体験ができる施設を備えていたり、安田ヨーグルトさんの牛乳たっぷりソフトクリームを味わうことができたりと、魅力いっぱいの総合施設です。

この一角にある「ゆうきふれあい100円市」。
100円以上のお買い物をしたような、なんだか不思議な満足感が味わえます。
地元のおばちゃんたちが丹精込めて作った大根、ねぎ、春菊などがずらっと並び、
お料理ができない私でも欲張って、もう一つ、と手を伸ばしたくなるようなそんな感じです。
きっと、ここでの会話、ふれあいから生まれるものなのでしょうね。

マクドナルドの「スマイル0円」と同じ、そんな満足感。
人恋しくてスーパーへは行かず、地元の商店街へ通っていた上京したての学生時代を思い出して、年甲斐もなく胸がキューンとなりました。
たくさん買ってしまったので、友達を呼んで鍋パーティーでもしてみようかなぁと思います。

100円市は水・土・日曜日、祭日限定です。
おばちゃん達に話しかけると元気をもらえますよ。

新潟日報コラム 『甘口辛口』 ①

12月4日から新潟日報で連載させていただきました『甘口辛口』。
新潟県内の多くの方に読んでいただき、温かいお言葉を頂戴しまして
本当に嬉しく思います。
県外のお客様にも読んでいただきたく、この度、この日記に連載させて頂くことに!
どうぞ宜しくお願いします。



―ごちそう―

「いつもご馳走(ちそう)が食べられていいね。贅沢(ぜいたく)しているんでしょう」。
幼いころから周りの人たちによく言われてきた言葉です。
贅沢なんてとんでもない。ご馳走は私の目の前を素通りして、お客様の笑顔の元へと運ばれていきます。
旅館業は華やかに見えるかもしれませんが、ところがどっこい。
朝はその日のスケジュールが書かれた黒板を相手に、立ったままお握りをほおばり、
夜は10時過ぎに自宅へ戻りニュースを見ながら晩酌です。

そんな私の唯一楽しみはお昼のまかない。
一緒に働く皆さんと一つのテーブルを囲んで食事を取ります。
今日は佐渡沖で揚がった新鮮な甘エビの味噌(みそ)汁。
甘エビといっても頭だけ。
お客様の料理で捨てる部分を調理したものですが、
それが実においしい。チュッチュッと口を尖(とが)らせ、
頭の中に詰まった少しの身と味噌を必死で吸う姿は滑稽(こっけい)でもあります。

わが家では、そんなご馳走。
贅沢とはひと味違うご馳走です。

環翠楼の家族と一緒に食を囲めば何でもごちそうになります。
まかないタイムはかなり賑やかです。

火熾し―ひおこし―

静かな帳場。。。
囲炉裏の前で動かない女将。
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囲炉裏の火熾しに夢中です。
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お客様が帰った後、今日のお客様がお見えになるまで
静かなお正月を過ごしています。

新年

あけましておめでとうございます!!
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環翠楼の元旦の朝、
お客様に見えない裏方では戦争が始まったかのように慌しいです。
お餅を焼いたり、お雑煮を用意したり。。。

そんな中でも一瞬手を止めて
笑顔で「あけましておめでとう。今年も宜しくお願いしますね。」
はぁ~。いい正月だ。

帳場に座ると常連のお客様が帳場にお茶を飲みに来てくれます。
「あけましておめでとうございます。」
はぁ~。いい正月だ。

今年も良い年になりそうです。
わくわく。



プロフィール

村杉温泉・環翠楼

Author:村杉温泉・環翠楼
環翠楼は、6,000坪の広大な森に囲まれた閑静な和風旅館です。
森を抜けると庭園が広がり、春夏秋冬違う表情を見せ、私達を楽しませてくれます。大きな池には鯉が泳ぎ、木立、石、苔など深い自然の懐に抱かれたような情景は、言葉に言い表わしがたい感があります。どうぞ、日常を離れ、贅沢なひとときをお過ごしください。

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